前回は勉強を続けて学力をアップさせるポイントとして「目標設定」「集中力」「ルーティーン」の3つの要素をあげました。
次は、土台作りです。
先ほどの3つの要素を満たしているからと言って子どもたちが高度で難解な数学の問題をすらすらと解けるようになるわけではありません。難しい問題を解けるようになるためには高いレベルの理解力が必要です。しかし、そうした理解力を身につけるには、まず土台となる基礎力が必要となります。
子どもに目標ができたからと言って、家庭教師に高度な指導をしてもらったり予備校や進学塾に通わしても、長続きしなかったり、成績が逆に下がり始めたりします。原因は土台作りをしていないからです。
学習の土台は「読む」「書く」「聞く」「話す」の4つの要素です。これらはだれでも日常生活で使いこなしている技術です。しかし、これらを技術だと自覚して、さらにこれらの技術を向上させようと意識的のトレーニングしている子供はいませんよね。かけっこが技術だと意識していないのと同じです。
でも、フィジカルトレーニングで子どもの足が速くなるのと同様に、学習によって「読む」「書く」「聞く」「話す」の4つの技術は上達するのです。つまり、普段当たり前にできていると思っている技術をさらに伸ばすことが、学力の基礎トレーニング(勉強)をするということなのです。
たとえば、「話す」ことは、日常的に友達や家族と会話をしているので、子供たちはできると思っています。しかし、教室で先生の質問に適切に答えることができる子どもはどれだけいるでしょうか。分かっていても答えられないと言う子どもはとても多いと思います。また、「聞く」ことも、会話の中で相手の言葉を遮らずに最後まで聞き続けることができるのは、大人でも少ないかもしれません。聞き上手になるということは、単に人と仲良くなれるだけでなく、中学や高校の授業の中で先生が伝えたいことを適切に理解する技術として大切なのです。
そして、これら4つの技術を上達させることはいつでも可能です。子どもの年齢を問いません。それぞれの年齢に合わせてのトレーニングがあります。また、特別な場所は必要ありません。「読む」トレーニングは本さえあればいいのです。「書く」トレーニングも紙と鉛筆があればできます。必要なのは、それを促し育める環境だけです。伸びる子は、親や先生の話を聞いて、上手にこの4つの技術を磨いて基礎学力を向上させていきます。一方、親や先生は子どもたちにこれら4つの基礎トレーニングを意識的に促していく心がけが必要です。
