そろそろ中間テストシーズンになってきます。3学期制の高校は5月中旬から下旬に、前後期制の中学校は6月上旬に中間テストが控えていると思います。
初めての定期試験を受ける中学1年生ばかりでなく、何度となく定期試験を受けてきた中学生や高校生でも、テスト勉強の方法について未だに何をすれば効果がでるのかよく分からないと思っている人が多いのではないでしょうか。
そこで、今日はテスト勉強を効率的に進めるために知っておいてほしいことをお伝えしたいと思います。
まず考えてほしいのは「勉強とは何をすることなのか」ということです。誰でもが「そんなこと分かっている」と答えるかもしれません。でも、それがわかっているならば、効率よく勉強ができてそれなりにテストの結果が良くなるはずです。でも、「勉強しなさい」と言われるばかりで「勉強とは何をすることなのか」を教わっていなかったりすると、勉強の効率がわるくて結果に結びつかないのではないでしょうか。
テスト勉強とはテストで高得点を取るためにテスト範囲の勉強をすることだということは誰でもわかります。でも、これだけではテスト勉強をどうすればいいのかはわかりませんよね。そこで「どうすればいいのか」と誰がたずねたりすると「テスト範囲を勉強して覚えればいいんだよ」とだけ教えられます。
小学校までに勉強は覚えることだと教わってきた人は、「勉強=覚えること」だと考えます。けしてこの説明が間違っているわけではありません。でも、一生懸命に勉強したにもかかわらず結果が悪くて落胆した経験をもつ人は少なくないと思います。何がいけなかったのでしょうか。それは、「勉強=覚えること」の理解が十分ではなかったのです。
ポケモンのキャラクター名や鉄道の駅名を全部完璧に覚えて大人をびっくりさせる子どもがときどき話題になりますよね。もしこのような記憶力の優れた子供が勉強ができる子とするならば、この子たちは中学校や高校でも好成績を取り続けられることになります。しかし、必ずそうなるわけではありません。つまり、記憶力が優秀だからと言って勉強ができる保証にはなりません。つまり、覚えるというのは記憶することだけではないのです。では、何が足りないのでしょうか。
そこで、覚えることについてもう少し詳しく考えたいと思います。覚えることは記憶させることと合わせて、実は他に2つの課程が必要であることを説明したいと思います。一つは、記憶する前に記憶する知識について理解しておくことです。次に必要な課程は、記憶した後に記憶した知識を的確に思い出せるようにすることです。覚えているつもりで結果が出せない人は、記憶することにばかりに時間をかけていて、理解すること、または思い出すことの課程を怠っている可能性があります。
この2つの課程について、もう少し詳しく説明してみたいと思います。
まずは、記憶する前に理解することについてです。先ほどの例にあったポケモンのキャラクター名を覚える場合、イラストとキャラクター名をそれぞれ認知してそれを結び付けさせて覚えることになります。記憶させるものは何を意味しているかを理解することが必要なのです。テスト勉強も同様です。無闇にそのまま記憶しようとすると時間ばかりかかって記憶がすぐ消えてしまいます。例えば、歴史で年表に出てくる時代名を覚えるとき、並んでいる順にただ時代名を覚えようとしたりするとそうなります。そしてそういう人はきっと歴史嫌いになるのだと思います。
時代名を覚えるためには、なぜ各時代の名前がそうなったかを理解する必要があります。それをしないで「縄文、弥生、古墳、飛鳥、奈良、平安、鎌倉、室町、戦国、安土桃山…」と唱えても記憶に定着しにくいと思います。
次に、思い出すことについてです。エビングハウスの忘却曲線について知っていらっしゃる方も多いと思います。テスト中に「覚えたはずなのに、思い出せない」と困惑した経験は誰にもあることですが、まさに記憶は時間と共に消えていくものです。エビングハウスの忘却曲線によると意味もなく覚えた記憶は1日後には2/3が消えるそうです。しかし、再学習した知識は、記憶から消えにくくなるだけでなく理解がより深まります。しかも、再学習にかける時間は大幅に短縮しても効果は確実なのです。思い出すために再学習することが覚えるためにはとても大切だと言えます。
テスト勉強とは、テスト範囲の内容をまずしっかりと理解したうえで、その知識を記憶させて、一定の時間をあけて思い出せるかどうかを確認する再学習を繰り返すことだということを説明してきました。結局一夜漬けで徹夜してテストに臨むより、数週間前から複数回に分けて時間を絞って勉強したほうが確実によい結果が出るということです。
テスト勉強は、まとめて直前にやっても結果はよくなりません。テストの数週間前から計画的に時間を分割して各科目ごとに、知識を理解させたり、記憶させたり、演習問題で再確認したりを繰り返すのが最も効率の良いテスト勉強だと言えます。
